初めて部屋を借りるとき、申し込みから入居までの流れが分からず不安になる方は少なくありません。どの順で何を進めるのか、いつお金を払うのかが見えないまま契約の場に臨むと、言われるまま署名してしまいがちです。必要な書類の準備が遅れると審査が後回しになり、希望の物件を先に申し込んだ人に取られてしまうこともあります。
とはいえ、契約の流れや必要な書類、審査で見られる点は、一度経験しないと分かりにくいものです。初めての一人暮らしなら、なおさら勝手が分かりません。あらかじめ全体像を知っておくと、次に何をすればいいかが見え、慌てずに順番に手続きを進められます。
この記事では、契約までの流れから、必要な書類、入居審査で見られること、契約前に確認しておくことまでをまとめました。初めての賃貸契約でも迷わず動けるよう、順を追って説明します。手続きを始める前の見取り図としてお使いください。
賃貸契約までの流れ
賃貸契約は、申し込みから鍵の受け取りまで段階を追って進みます。まずは全体の流れを知っておくと、次に何をすればいいか分かります。ここでは、契約までの流れを見ていきます。
入居を申し込んで審査を受ける
気に入った物件が決まったら、入居申込書に名前や勤務先、年収などを書いて申し込みます。申し込んだ時点で部屋が仮に押さえられ、貸主と保証会社による入居審査が始まります。この審査では、あなたが家賃を継続して払える人かどうかが確かめられます。
審査には数日から1週間ほどかかることが多く、その間は結果を待つことになります。人気の物件では、申込書と必要書類がそろった順に審査が進むため、書類の準備が遅れると先に申し込んだ人に決まってしまうこともあります。まずは申込書を早く出し、求められた書類をすぐに返せるよう手元にそろえておきましょう。
重要事項説明を受けて契約する
審査に通ったら、契約を結ぶ前に重要事項説明を受けます。これは、家賃や契約期間、更新や退去のルール、禁止事項などを、宅地建物取引士があなたに口頭で説明する法律上の手続きです。重要事項説明書という書面を見ながら進むため、聞き流さず一項目ずつ確かめていきます。
説明の内容に納得したら、賃貸借契約書に署名・捺印して契約が成立します。いったん署名すると、後から「聞いていない」とは言いにくくなります。原状回復の負担範囲や更新料、退去を知らせる時期など、あとで費用に関わる項目は、その場で質問して条件をはっきりさせてから判を押してください。
初期費用を払って鍵を受け取る
契約が済んだら、敷金・礼金や前家賃、仲介手数料、火災保険料などをまとめた初期費用を支払います。金額は家賃の4〜6か月分になることが多く、まとまった額を指定の期日までに振り込みます。この入金が確認されて、契約がようやく最終的に確定します。
支払いが確認されると、入居日に合わせて部屋の鍵を受け取れます。鍵の受け渡しは店頭か現地で行われ、このとき部屋の状態も見られます。傷や汚れがあれば写真を撮って伝えておくと、退去のときに自分の負担にされずに済みます。鍵を受け取れば入居でき、あとは引っ越しの日取りを決めるだけです。

契約に必要な書類
契約を進めるには、いくつかの書類が必要です。早めにそろえておくと、手続きが滞りません。ここでは、必要な書類を見ていきます。
本人確認書類を用意する
契約には、あなたが本人であることを示す書類が要ります。運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、健康保険証などが使えます。多くは顔写真つきのものが求められ、コピーの提出や、契約時に原本の提示を求められることもあります。
有効期限が切れた免許証は本人確認に使えないため、申し込みの前に期限を見ておきます。引っ越しで住所が変わる場合、券面の住所が旧住所のままでも受け付けられることが多いものの、扱いは会社によって違います。求められる書類は申込先で事前に確かめ、コピーを何枚か用意しておくと手続きが滞りません。
収入を証明する書類を用意する
家賃を払える収入があることを示すため、収入証明の書類を求められます。会社員なら源泉徴収票や直近の給与明細、確定申告をしている人なら確定申告書の控えや課税証明書が該当します。貸主や保証会社は、この書類であなたの年収と家賃のつり合いを見ます。
転職したばかりで源泉徴収票がない場合は、内定通知書や雇用契約書が代わりになることがあります。学生や収入の少ない人は、親などを契約者や保証人に立て、その人の収入証明を出す形になることもあります。自分の勤務や収入の状況に合う書類がどれかを申込先に確かめ、早めにそろえておきましょう。
連帯保証人の書類を用意する
賃貸契約では、家賃の支払いを保証する連帯保証人を求められることがあります。保証人を立てる場合、その人の本人確認書類や収入証明、押印した承諾書などが必要になります。保証人には、収入のある親や親族を頼むのが一般的です。
近年は、保証人の代わりに家賃保証会社の利用を必須にする物件が増えています。この場合は保証人の書類はいらない代わりに、保証会社へ支払う保証料が初回でかかります。自分の契約が保証人型か保証会社型かをまず確かめ、それに合わせて書類か費用のどちらを用意するかを決めておきましょう。両方を求められることもあります。
入居審査で見られること
申し込み後の入居審査では、いくつかの点が確認されます。何を見られるかを知っておくと、審査に備えられます。ここでは、審査で見られることを見ていきます。
家賃を払える収入があるか見られる
入居審査でまず見られるのは、家賃を継続して払える収入があるかどうかです。目安として、家賃が月収(手取りではなく額面)の3分の1以内に収まっていると通りやすいとされます。年収の高さそのものより、収入に対して家賃が重すぎないかが判断の軸になります。
たとえば額面の月収が21万円なら、家賃7万円前後までが無理のない範囲の目安です。収入に対して家賃が高すぎると、払い続けられないと見なされて審査で不利になります。背伸びした物件を選ぶより、月収の3分の1を目安に家賃を抑えたほうが、審査も通りやすく入居後の家計も回りやすくなります。
保証人か保証会社が必要になる
入居審査では、連帯保証人か家賃保証会社のどちらかを立てることが条件になります。これは、あなたが家賃を払えなくなったときに、代わりに支払う相手を貸主が確保しておくためです。どちらを求めるかは、物件や管理会社によってあらかじめ決まっています。
保証会社を使う物件では、あなた自身の入居審査に加えて、保証会社による審査も併せて行われます。過去の家賃滞納などが確認されることもあり、ここで時間がかかる場合があります。申し込みの段階で保証人型か保証会社型かを確かめ、保証人が必要なら頼む相手に前もって承諾を取っておくと、審査が止まらずに進みます。
勤務先や連絡の取りやすさも見られる
入居審査では、収入の額だけでなく、勤務先の安定性や連絡の取りやすさも見られます。勤続年数が長く安定した勤務先か、申し込み時の電話番号で連絡がつくかは、家賃を長く払い続けられる人かどうかを判断する材料になります。
審査の途中で、申し込んだ本人や勤務先へ確認の電話が入ることもあります。申込書の勤務先名や電話番号、年収に書き間違いや空欄があると、確認に手間取って審査が長引きます。連絡がつかない状態が続くと、審査そのものが止まることもあります。勤務先や連絡先は正確に書き、審査中は電話に出られるようにしておきましょう。
契約前に確認すること
契約の前には、条件を細かく確認しておくことが欠かせません。ここを見ておくと、入居後や退去時のトラブルを防げます。ここでは、確認することを見ていきます。
契約期間と更新の条件を確認する
賃貸契約には契約期間が定められており、多くは2年契約です。期間が満了しても住み続ける場合は契約を更新しますが、その際に更新料として家賃1か月分ほどがかかる物件があります。更新料の有無や金額は、地域や物件によって差があります。
契約前に、更新料がいくらか、更新のたびにかかるのかを契約書で確かめておきます。2年ごとに家賃1か月分の更新料がかかるなら、長く住むほど負担は積み上がります。あわせて、契約期間の途中で退去するときに違約金がかからないか、更新を断ったときの扱いや解約の予告期間も見ておくと、住み始めてからの想定外の出費を防げます。
退去時の費用負担を確認する
契約前には、退去するときにかかる費用も確かめておきます。部屋を借りたときの状態に戻す原状回復のうち、どこまでが借主の負担で、どこからが貸主の負担かは契約書に書かれています。国土交通省のガイドラインでは、通常の生活でついた傷や経年劣化は貸主の負担とされています。
契約書に特約として、ハウスクリーニング代や畳の張り替えを借主負担と定めていることがあります。この特約を見落とすと、退去のときに想定外の請求を受けることがあります。敷金から差し引かれる範囲や、原状回復として何を求められるかを契約前に確認し、納得したうえで契約すれば、退去時のトラブルを避けられます。
まとめ
賃貸契約は、申し込みと審査、重要事項説明と契約、初期費用の支払いと鍵の受け取りという流れで進みます。本人確認書類や収入証明、連帯保証人の書類を早めにそろえておくと、審査が後回しにならず手続きが滞りません。書類の準備の遅れが、希望の物件を逃す原因になることもあります。
入居審査では、家賃が月収の3分の1以内に収まっているかが見られ、連帯保証人か保証会社が必要になります。契約前には、契約期間と更新料、退去時の原状回復の負担範囲を確認しておきましょう。全体の流れをつかんだら、まずは必要な書類の準備から始めてみてください。


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